1. Vanguardとは?イギリスで運用するメリットは?
バンガード・グループとは、1976年に初の個人投資家向けインデックスファンドを売り出した、低コストインデックス運用のパイオニア。今では3000万人を超える顧客を抱える、世界最大の資産運用会社となっています。
イギリスにバンガードのプラットフォームが出来たのは2017年5月と、かなり新しいサービスですが預金保護の対象になるFSCSに加盟しており安心して運用できる会社です。
バンガードの面白いところは会社は投資家が持っているバンガードのファンドによって所有されていて配当金を払う代わりに、低コストのファンドを提供することで利益を投資家に還元していること。
ちなみにバンガードのファンドの経費は1975年に0.89%だったのが今ではなんと0.12%に下がっていて他のインデックスファンドと比べても手数料が安いのが特徴的。
– バンガード証券口座の重要性
一言で言えば、幅広い投資商品を、低い手数料で提供しているため、初心者から経験豊富な投資家まで利用されている実績のある証券会社です。株式、債券、投資信託など、多岐にわたるポートフォリオ選択が可能です。
注意点として、個別株の取引というより債権やインデックス投資(ETF)に特化されている証券会社です。
インデックス投資とは日経平均やTOPIX、S&P500、ダウ平均のような株価指数(インデックス)と同じ値動きを目指す投資方法のことです。簡単に言ってしまえば、リスク分散した商品です。
– イギリスでの開設のメリット - 駐在員でも受けられるメリット
後で説明しますが、オンラインで開設から運用ができるので非常に敷居が低く、英語が得意ではない方でも簡単に始められます。とはいえ、商品説明などの詳細はかなり文字数が多い説明があるのでそこまで調べると英語力は必要ですが個人的にはそこまで読む必要性はありません。最低限知っておいた方が良いことは別途説明します。
一番のメリットは非課税投資制度ISA(Individual Savings Account)です。日本ではNISA(少額投資非課税制度)がありますがこのお手本となった制度です。
ISA(アイサと呼びます)やNISAのことを簡単に説明すると、ある一定金額の投資に対して発生する利益や配当にについてはずっと非課税です。これも別で詳しく記載しますが、要は税金に関してかなりお得であるということです。しかもその得られる恩恵は日本のNISAに比べてかなり大きく使わないてはありません。
2. 証券口座開設の前提条件
– 必要な書類と情報
銀行口座が開設済であれば、書類は不要です。オンラインで申請できますが、その際に必要になる特別な情報は以下の通りです。
- National Insurance number (BRPカードの後ろに書いてあります)
- Debit card details
- bank details (for regular payments)
- パスポート番号
– 対象者(年齢、居住地など)
駐在されている方であれば気にする必要はないと思いますが、一応口座を開設できる人という意味では以下が対象者になります。
- 年齢: 通常、18歳以上でなければ証券口座を開設することはできません。
- 居住地: Vanguard UKは主にイギリス居住者向けのサービスです。居住地によっては、サービスを利用できない場合もあります。
- 税務居住者: イギリス以外で税務居住者である場合、追加の書類や情報提供が必要になる場合があります。
注意点としては、VISAの種類にもよりますが、妻などの家族はNI番号が発行されていないので口座を開設することができないという点です。家族を代表して投資する、であれば問題ありませんがそれぞれで投資を行おうとする場合は少なくともVanguardではできません。すなわち、ISAの恩恵も得る事はできません。
駐在妻でももし、ISAの恩恵を得る事ができるなどの情報をお持ちの方はTwitterからご連絡ください。
私も引き続き調査します。
3. 開設の手順
– オンライン申し込みプロセス
- バンガードのHPへアクセスし、OPEN ACCOUNTを選択
- Start my applicationを選択
- 下の画像のようにどの口座を開設開くかの画像が出てきます。投資用の口座を開き、かつ、投資用のISAを活用したいので、Stocks and Shares ISAを選択します。
- アカウントを作成します。ユーザー名、パスワード、メールアドレスを入力してアカウントを作成します。
- 最初の入金額を決めます。Single Payment (一回の入金)とRegular Monthly Payment(月々の積立)を設定できます。まずは、試しに少額をSingle Payment (一回の入金)してみると良いかと思います。
どの商品に入れるかわからない場合は別記事で紹介しているのでご参考ください。 - 個人情報を入力します。ここで、NI番号などが必要になります。
これでオンラインの口座開設手続きは終わりなのですが、日本人の場合追加でIDの提出が求められます。
オンラインで申請して数日以内にバンガードからメッセージが届くのでバンガードのマイページでパスポートコピーを送りましょう。
IDが確認されればすぐに投資できるようになります
4. 手数料
手数料は主にファンド管理手数料(Fund management costs)と口座維持手数料(Account fee)の2種類のみから構成されています。
ファンド管理手数料(Fund management costs)
管理手数料が更に3種類に分類されます。主にOCFのみ気にしておけば良いのではと思いますが、そもそも低いので気にするレベルではないかもしれません。
信託報酬(Ongoing costs including OCF) [0.06~0.78%(Vanguard UKの場合)]
ファンドの管理・運営のための経費で、ファンドを保有している間バンガードに対して払い続けなければならない手数料です。ファンド価格は、元々この手数料分差し引かれたものとなっています。
取引手数料(Transaction costs) [-0.05~1.63%(Vanguard UKの場合)]ファンドの投資先商品の売買に関する手数料で、信託報酬と同じくファンド価格から差し引かれて徴収されています。
ワンオフ手数料(One-off costs) [0.02~0.23%(Vanguard UKの場合)]ETFを売買する際に発生するスプレッドに関する費用も、同じくバンガードのファンド価格に織り込まれています。
口座維持手数料(Account fee)
バンガード証券が顧客にオンラインサービスを提供する為の手数料です。手数料は日々計算され、四半期毎に口座から引き落とされます。イギリスのバンガード証券の場合、この口座維持手数料は年率0.15%です
250,000ポンドを超えた分は手数料は無料なので初心者だけではなく資産が大きくなってきた投資家にも優しい仕組みです。
仮に年間ISAの枠MAXである20000ポンド投資をしてもかかる費用はたった30ポンドです。30ポンドという絶対値で捉えるとソコソコかもしれませんが、割合で考えれば0.15%ですのでわずかですね。
手数料のまとめ
少し細かく説明してきましたが、数字を見てもらえばわかりますが手数料が低く設定されています。口管理手数料については、非常に低コストに抑えてファンド価格に反映されています。
他の証券会社と比較しないと安い・高いがわからないと思いますが、他の証券会社だとそもそもの手数料の種類が多く、何かをするたびに手数料が発生します。
気になる方は他の証券会社を調べてみて判断してみるといいかと思います。私も他の証券会社などを引き続き調査してみて得られた知見はアップデートしていきたいと思います。
5. 注意点
既に記載しましたが注意点をまとめてみます
- 家族は口座を持つことは原則できません。NI番号がないからです。就労できるビザをおもちであればNI番号を取得できるかもしれませんが、例えば夫の駐在で帯同している家族はおそらく就労ビザではないため難しいと思います。HM Revenue and Customs(HMRC)ではその記述があるのですが、もし取得可能であるという情報をお持ちの方はお知らせください。
- 口座申込時に初回入金する必要があります。少額で構いませんが、ご注意ください
- 開設する口座の種類は複数ありますので、自身の投資や生活スタイルにあったものを選択してみてください。
- Vanguard証券では個別株は扱っていません。
6. まとめ
イギリスのVanguard証券口座を開設する手順や注意点について説明してきました。駐在員の方は日本の証券口座での株などの取引が規制されているため、投資運用をしようとすると日本以外での証券口座で運用しないといけないはずです。イギリスにはISAという日本のNISAよりも優れた税制優遇を活用できますので、ぜひ活用して見てください。
資産形成という意味では他にも私が実践している方法がありますのでまた別途まとめてます